☆心材と辺材のあいだ blog number. 32
こんにちは、太田勝也です。
「冷静と情熱のあいだ」とは、どうやらイタリアを舞台にした映画らしいのですが、
このブログは、主に埼玉県新座市という郊外化した衛星都市を舞台として執筆されております。
2018/1/22 21:50 私のPCが表示する時刻はきっと正確なのでしょう。
今夜は雪が降っています。東京都心では積雪20cmが予想され、テレビが大騒ぎしています。
夜なのにまちが明るいのは、積もった雪のせいでしょうか。
ニュージーランドのクイーンズタウンでは、午後9時になっても外が明るいので、
夕食のタイミングがつかめずに戸惑ったことを思い出します。
雪の積もった樹木を見ると、あんなに重そうなのによく折れないなと関心してしまいます。
それに比べて、モウソウチクのだらしないこと。すでに雪の重さで垂れ下がってきています。
もっと樹木を見習いなさい!と言いたところですが、
体のつくりがぜんぜん違うので、無下に竹たちを責めるわけにもいきません。
むしろ、そのしなやかさこそが竹材の良いところ。
職人の腕によって作られる、強くて繊細な美しい竹細工は実に見事です。
そういえば、樹木を支えているのはいわゆる木材ですが、木材を観察するうえでもっとも肝心な「心材」と「辺材」のことを書いていないことに気がつきました。
そんなこと知ってるよ!という方も多いとは思いますが、今一度お付き合いください。
↑さて、写真をご覧ください。
これはコナラの幹横断面ですが、色の濃い材と薄い材にわかれていますね(樹皮と形成層はのぞいて)。
色の薄い部分=「辺材(へんざい)」と呼ばれています。
こちらは生きた柔細胞などが存在し、水分通導機能があります。
水分通導機能とは、根から吸い上げた水分を樹体の各部へと送る機能のこと。
この水分には窒素、リン酸、カリウムなどのミネラルが含まれています。
もちろん、辺材は樹体の支持機能もあります。
辺材内側の色の濃い部分=「心材(しんざい)」と呼ばれています。
ここには生きた細胞はありません。つまり生理的な機能はなく、水分通導機能もありません。
主な役割は樹の体を支えること。
辺材の細胞は内側の古い部分から少しずつ生活機能を失い、やがて心材化します。
そして、心材化するときに様々な物質が生成されるため材に着色が起こります。
なので、辺材と心材に色の違いが生まれるのです。
つまり、簡単に覚えるとすれば・・・
「辺材」は生きてる細胞があり、吸い上げた水を送ることができる。さらに樹体を支えている。色白。
「心材」は死んでしまった細胞だが、樹体を支える機能がある。色黒。
植物の世界では、太陽の光を制し、水を手に入れた者だけが生き残ります。
光を誰にも邪魔されずに独り占めするためには、背を高くして葉を上のほうに着けなければなりません。
しかし、背を高くするということはそれを支える丈夫な根っこ、太い幹が必要になってくるのです。
大地に根をのばし、幹を太らせ、葉を展開する。
樹木の成長というのは、この繰り返しなんですね。
体を支えるために幹を太らせる。
そのために、死んだ細胞を内部に蓄積させる「心材化」はとても効率的な方法なのです。
もし生きた細胞だけで幹を太らせようとしたら、その細胞を維持するエネルギーだけで大変ですよね。
だいぶ雪が積もってきました。
市内の樹木は大丈夫かな?倒れて道路をふさいだりしていないか心配です。
夜中なので、ケガ人はでないとは思いますが。
樹木管理に携わる者として、
少なくとも樹木のせいで人が不幸になることは避けたいものです。