No.18 昆虫博士入門
私たち造園業者が昆虫と対峙するとき、それは害虫防除のときです。しかし、昆虫をただの害虫として敵対視ばかりしていては、より良い樹木管理はできません。まずは、彼らを知るところからはじめましょう。
ある樹木の葉っぱが虫に食われていました。
はたして、その犯人はいったいどんな虫なのか?
造園屋にとっては、それが問題です。
とはいえ、葉を食べる虫はたくさんいますし、被害に気がついたときには、
犯人はその場にいないことが多いものです。
しかし、今後の被害を防ぐためにも、葉を食べた犯人を特定しなくてはなりません。
もちろん、正確に昆虫の名前を調べるためには、かなりの知識と経験が必要になります。
場合によっては、専門家の先生に同定を依頼することになるでしょう。
ですが、一般的な昆虫の知識を身につけてしまえば、
よく発生する主要な害虫には十分に対応できるはずです。
例えば、私が樹木の葉っぱに害を与える虫を調べるとき、
おおまかに、「かじる」・「吸う」・「もぐる」・「その他」の3タイプ+1にわけて考えます。
それぞれのタイプには、栄養を摂取するための口の形に違いがあるので、
葉の被害状況を観察していけば、犯人を特定できるかもしれないのです。
①「かじる」タイプというのは、葉っぱをかじりとって食害する害虫です。
いわゆるイモムシやケムシ、ハムシ、コガネムシなどか考えられます。
バッタの仲間のイナゴは、大昔のイネ害虫でたくさんの飢饉を引き起こした害虫です。
②「吸う」タイプは主にカメムシ目の仲間です。
アブラムシやカイガラムシ、コナジラミなんて害虫もいます。
ストロー状の形をした口を持っていて、植物体の液を吸うタイプの害虫です。
③「もぐる」タイプは特徴的で絵描き虫と呼ばれます。
葉の内部にもぐり、食害しながら進んでいきますので、
葉っぱに絵を描いたような模様が残るのが特徴です。
「その他」は複合的は要因がある場合ですが、詳しく書くと長文になってしまうので
また、別の機会にさせてもらおうと思います。
このように、病害虫防除の現場では、虫たちが残した手がかりをもとに
犯人を探し出し、問題を解決することが要求されます。
まずは、虫のことを今よりちょっとだけ知ること。
そうすれば、小さな手がかりにも気づくことができるようになれるはずです。
そんなわけで、この昆虫博士入門がオススメです。
キーワードは「形には理由がある」。
カラー写真が多く、とてもわかりやすい本です。
以前、石ころ博士も同じシリーズで紹介しました。
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