☆カタクリのさび病 blog number. 46
こんにちは、太田勝也です。
「スプリング・エフェメラル」、直訳すると「春の短い命」。
こんな呼ばれ方をする植物のことを、皆さんはご存知でしたでしょうか?
今回の話題となる「カタクリ」という植物もスプリング・エフェメラルのひとつです。
↑ ちなみに、これがカタクリです。埼玉県横瀬町 2012/4/15撮影
このスプリングエフェメラルとは、木々が芽吹く前の春先に可憐な花を咲かせ、夏がくる前に葉を枯らして、残りの季節を地中で過ごしながら次の春を待つ植物のことです。日本語では早春植物と呼ばれています。
春~初夏まで、とても短いライフサイクルをもつカタクリ。近年は保全活動が行われる地域も多く、新座市の周辺地域でもカタクリの群落を目にすることができます。
先日、県内某所の雑木林を歩いていると「さび病」に罹病したカタクリをみつけました。ちなみに、もう花の時期は終わっていました。
↑ 写真はカタクリの葉の裏、黄色くさびついたような病徴がみられます。
↑ さび病は群落の全体に広がっている様子でした。
↑ スケールをあてるとこんな感じ。
さっそく、家に帰って「カタクリさび病」の対策について調べてみたのですが、
どうやら明確な防除方法は確立されていないようです。
そして、これは作物の例なのですが、さび病がある程度蔓延してしまった場合は、殺菌剤を散布しても効果はあまり期待できないとのことです。
薬剤が期待できないとなると、さび病菌を物理的に減らしていくしかない!
対策としては罹病した葉を集めて償却処分したり、林内の落ち葉掃きを継続したり、さび病菌の繁殖を抑えるための地道な活動が必要になりそうです。
保全活動の結果、カタクリの群落と個体数は増えましたが、そのぶん病気が発生すると被害が一気に広がってしまう。
いつも思いますが、自然というのは人が思ったように動いてくれません。でも、そこが面白いところなだと思います。
※このブログは、造園業に馴染みのない一般の方々に、造園や樹木のおもしろさをお伝えしていくことを目的としております。私が造園の仕事や日常生活で発見したこと、考えていることなどを、気軽な文章で発信していきたいと思います!そして、このブログを読んだ皆様が造園や樹木に興味を持って頂ければ幸いです。